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コラム

2014-02-14

せっかく書いた遺言書が自分の死後に発見されなかったら?

 自筆証書遺言は、紙と筆記用具と印鑑さえあれば、費用もかからず手軽に作成できるのがメリットですが、反面、きちんと民法の定める形式に沿って作成しないと、せっかくの遺言が無効になるという問題があります。

 また、自筆証書遺言は、公正証書遺言とは異なり、特に証人に立ち会ってもらう必要がないので、自分一人で作成でき、その内容も秘密にしておけるメリットがありますが、そのようにして作成された遺言書を、どのようにして保管するかという問題があります。

 遺言は、その人と相続人、あるいは相続人同士の人間関係に大きな影響を与える可能性があることから、本人が生きているうちには、その内容を明かさない方がいい場合もあります。例えば、遺産の配分について、同居して生活の面倒を見てくれている長男に財産を多めに相続させる遺言を作成したとすると、その遺言は長男以外の子には、あまり見せない方がいいと思われます。かといって、長男には見せてもいいかというと、そうとも限りません。これを見た長男がある種安心してしまって、親に対する態度が横柄になったり、親の財産をいずれ自分が相続することがわかってから、親の生活費を極度に倹約してなるべく残しておこうと考えたりすることも、いやらしい話ですが、ありえる話です。したがって、遺言は本人が生きているうちには、簡単には発見されない場所に隠しておく必要があります。

 しかし、遺言は、作成した本人が亡くなった後ではじめて効力が生じますので、本人が亡くなった後で、誰かに遺言を見つけてもらう必要があります。したがって、あまりにも見つかりにくい場所に遺言を隠してしまうと、誰にも発見されないまま、遺言が闇に消え去ってしまうということにもなりかねません。

 つまり、遺言は、「本人が生きているうちには発見されず、本人が亡くなった後は発見してもらえる場所」に保管しておく必要があります。何だか矛盾していますね。しかし、この問題を解決する方法があります。それは、遺言を信頼できる人に預けるという方法です。そうすれば、本人が生きていうちには隠してもらい、本人が亡くなった後で遺言を開示してもらうことができます。

 では、誰に預けるかですが、これも実は、結構難しいのです。まず、相続人のうちの一人(長男など)に預けるという方法がありますが、これは、特に自筆証書遺言の場合には、あまりお勧めできません。なぜなら、その遺言があることで遺産相続が有利になる相続人に預けた場合、他の相続人が「遺言を無理に書かせた」「ねつ造した」などと文句をつけることも考えられます。逆に、その遺言があることで遺産相続が不利になる相続人に預けた場合には、その相続人自身が遺言を破棄したり隠ぺいしたりする可能性があるからです。もちろん、遺言には封をして、「私が生きているうちは中を見ないように」と伝えて渡すのでしょうけれど、そう言われるとなおさら中身を見たくなるのが人情というものです。

 また、遺言は本人が亡くなるまでは、何度でも作り直すことができます。しかし、遺言の保管を相続人のうちの一人に頼んでいる場合には、差し替えることで余計な疑念を招くこともありえますし、かといって、前回の遺言を預けた時とは別の相続人に遺言を預けることは、自ら相続争いの種をまいているようなものです。

 では、信頼できる第三者に預けるという方法ですが、これは、まず預かってくれるような人が見つかるかの問題があります。責任重大ですし、ことによると相続人から逆恨みをうけることも考えられます。また、遺言を託した人が自分よりも先に亡くなった場合にどうするかの問題や、自分が死んだことをその人に確実に伝える方法についても、検討する必要があります。

 このように、自筆証書遺言は、保管の方法についても、さまざまな問題があります。

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